VOL3
「ツーリングレポート 九州編 ′01」 3
宮崎牛のステーキとホタテの貝柱というなんともリッチな夕食を終えた後、
僕達は昨日のキャンプ場では周りが静かすぎて作れなかったポップコーンを作ることにした。
(あのシャカシャカ振るやつ)
しかし、丸一日バックの底に押し込まれていた為、底のアルミ部分がかなり変形していた。
それでもまぁ問題ないだろうと思い火にかけてシャカシャカと振るのだが、かなり底のヘコミがきつい為、中のコーンがうまく転がらない。
それでも根気よく振り続けていると「パンッパンッ!!」と心地よい音が鳴り始めたがほんの数分程で音が止んだ…
作り方の説明書によると音が止めば出来上がりと書かれているが、どうもおかしい。
出来上がりの写真では上のアルミ部分が「優香の胸」ぐらい大きく膨らんでいるのに対して、
僕達が作ったものはどうみても「安達裕美級」である。しかも周りには「なんとも香ばしいというか、少々焦げ臭いというか、
間違いなく焦げてる!!」という臭いがただよっていた。
結局出来上がったのは「ポップコーン」ではなく「バブルガムブラザーズの
KORN」だった。
僕がインターネットからキャッチした情報によると、女性もやはり混浴露天風呂にキョーミがあるらしい。
しかしやはり少々恥ずかしいという思いがあるため、大半の女性は人の居ない深夜や早朝に入るらしい。
そこで僕達は早朝に狙いをさだめ、恒例「夜のY談」もそこそこにして早寝を決め込んだ。
早朝5時半 携帯の目覚ましが襲いかかる。
普段なら2人ともなかなか起きず、「う〜ん、長い針が6を指したらおきるからぁ…グゥ〜」なのだが、
今朝の2人はやけにシャキシャキしている。
「俺がシュラフ畳んでいくから、I さんはテント片づけて!!」
「ラジャー!!」
すでに2人の頭の中は、「混欲」に支配されていた。
6時ジャスト出発に成功した。
目指す温泉は距離でいうと20〜30分程で着く予定である。
途中、バスの運転手に場所を確認すると約4kmほど山を入った所にあるという。
僕達は荒れた山道をものともせず突き進むのだが、それらしいものがぜんぜん見あたらない。
とうとうその山道はバイクではとてもじゃないが進めない道へと化していた。とりあえず、
バイクを降りて歩いてみたがまともに歩くことすらできない道だ。結局僕達は泣く泣く来た道を引き返した。
時間はすでに7時を回ろうとしていた。焦りと不安が僕達に降りかかる。このままでは「早朝ウハウハ天国」の夢が…
かなり長い道のりを引き返して来た所で一台の車が山道を上がってきた。
僕達は車を呼び止めると、2人の中年のおっさんが窓から顔を出した。
「どげんしたんちゃ?」
「すみません。○○温泉に行きたいのですけど、場所ご存知ないですか?」と尋ねる
と、
「わしらもそこに行く途中やけん、初めてやけどたぶん道は合っとると思うき、一緒にいくばい。」
僕等は「たとえ命にかえてもついていくけんね!覚悟するばい!」と誓った。
ここで僕達が目指している温泉を紹介しよう。
その温泉は川のいたるところから温泉が湧き出ていて、川そのものが湯船になっているというかなりめずらしい温泉なのだ。
つまりただの川なので男女の仕切りはおろか、脱衣所など存在しない実に野生味あふれる温泉である。
ガイドブックにはすっぽんぽんの姉ーちゃんが片乳を出して入っているのだから、
男性であればたとえ命にかえても行こうとする温泉であろう。
おっさんの車の後をつけ走ること5分 夢にまで見た幻の温泉に到着した。
すでに先客がいるらしく、何台かの車が停まっていた。
しかも川の方からは黄色い声も聞こえる。
我ら男性4人はマッハのスピードでサンダルにはきかえ川へと降りていった。
しかし我々はそこで思いもよらぬ光景を目にすることとなる!!(ガチンコのナレーション風に)
なんと先客のほとんどが家族連れで、しかも女性は皆水着を着用していたのだ!!我ら4人はがっくりと肩をおとした。
しかもすっぽんぽんの男性の背中には見事な“ジャパニーズアート”がほどこされているではないか!
彼の背中がこう語る。
「ワシら普通の温泉では入浴断られるけんね!こうゆう温泉に来るしかなかろうも!つべこべゆーとったら殺すばい!」
一緒に来た中年のおっさんが記念にと写真を撮ってくれた。僕はお礼を言って名刺を渡してきたのだが、
あれから1ヶ月が過ぎようとしている今、まだ写真は送られてこない。(お〜い!おっさん!!写真はまだか〜!)
結局、僕達はウハウハな思い出を得れず、その温泉を後にした。
1時間程バイクを走らせたところで朝食兼昼食をとるため○○大社に寄った。この辺りでは田舎蕎麦が名物らしい。
至るところに蕎麦屋の看板が掲げられている。
僕等は一番外観が綺麗なところに入った。(以外と店がまえがみすぼらしい所の方が美味しいことが多いのだが、僕等はそれほどチャレンジャーではない。)
食後、僕はウ○コ爆弾を投下するためにトイレに立てこもった。
まさかこの爆弾投下の5分のロスタイムがこのあと僕等の運命を大きく左右するとは…
次に目指すは“日南海岸”である。
“日南海岸”は阿蘇に並ぶほど有名な九州のツーリングスポットでる。
しかし海岸線に出る手前でポツリポツリと小雨が降りだした。
とりあえず様子をみようと休憩がてらコンビニに寄った。
が、雨足は次第に強まりはじめたので、僕は屋根のある駐車場へとバイクを移動させた。
しかし、その駐車場の屋根は網目の鉄板で出来ているために雨の当たらない所は非常に狭いスペースだけだった。
僕は真っ先にその場所にバイクを止めた。判断の遅れた
I さんは少しでも濡れない所をと探しているうちに濡れネズミになられていた。
「人がビショビショに濡れてんのに!うまそうにタバコふかすな!」
今回はよく雨に濡れる I さんである。
「それはそうと伊藤さん、電話で天気予報聞いてみて!」
「はいよ! ピッポッパ」「え〜と12時27分やって!」
「時報聞いてどないすんねん!」僕は叫ぶ。
「どないして聞いたらええの?」
「アホやなぁ〜 伊藤さんは以外と使えへんなぁ〜 最初に市外局番打つねん。」
「そっかそっか! ピッポッパ」「え〜と…兵庫県は曇りのち晴れやって!」
「もうええは!!」
かなり強い雨だったが、30分ほどで天気は回復した。
気分をとりなおしてバイクを走らせること5分、なんとその辺りはぜんぜん雨が降った形跡がなかった。
つまり僕がトイレで爆弾の投下行為をしていなければ伊藤さんは濡れネズミになることはなかったのだ。
彼は旅が終わるまで終始そのことで僕を恨み続けた。
つづく